かかりつけ医機能報告制度を盛り込んだ全世代型社会保障改正法案が10日に国会に提出されたことに関連して、東京都医師会の尾﨑治夫会長は14日の定例会見で、大都市では各科開業医がグループをつくってかかりつけ医機能を担うのが現実的との考えを表明した。
会見の中で尾﨑会長は、「いま国が考えているのは、1人の医師がいろいろな疾患を診て、在宅も含めて24時間対応していくことを求めているようだが、現実には難しい。日本の開業医の特徴として、大学での専門性を生かしながら、プライマリケアを勉強されて開業されていく先生がほとんど。大都市ではそういう先生方が多いので、連携してかかりつけ医機能を発揮することが一番現実的だ」と指摘。医療DXで患者情報が共有されることを前提に、グループでかかりつけ医機能を担っていく考えを表明した。また、かかりつけ医機能は診断治療だけでなく、予防にも関わっていくこと、医師会と地域密着型病院が協力して総合診療医の養成に当たっていく考えも示した。
会見では土谷明男理事がこの点について、「かかりつけ医が総合診療医の専門的な資格を取得して、ということではなく、例えば病院団体が行っている育成事業などのプログラムを活用できれば」と説明。開業する際に、近くの中小病院で勤務を経験すれば地域の行政、介護などの関係者ともつながりができるとして、開業する医師にとっても「魅力的な話になるのではないか」と述べた。
会見では新型コロナウイルス感染症の5類見直し問題も取り上げられた。尾﨑会長は、新型コロナはインフルエンザに比べて感染力が強いことを強調。「診療所で(他の患者と)導線を分けないでコロナを診ることは不可能に近い。ただし、導線を分けられない医療機関では『うちでは診られません』で終わらせず、診療・検査ができる医療機関を紹介していただく。これを徹底してやっていただければ、発熱患者を無碍に断るのではなく、診療につながっていく」と述べ、医療機関の連携を要請していく考えを示した。