新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行が決まったことを受け、中央社会保険医療協議会は3月1日、総会を開き、診療報酬上の特例の取扱いについての議論を開始した。診療側は特例の継続を求めたが、支払側は段階的な縮小を主張。両者の意見が対立した。
政府は1月27日、新型コロナの感染症法上の位置づけを5月8日から5類感染症に変更することを決定。患者への対応と医療提供体制の見直しについては、3月上旬を目途に具体的な方針を示すとしており、外来における「院内トリアージ実施料」(300点)と「二類感染症患者入院診療加算」(147点)の算定や、入院における「特定集中治療室管理料」や「救急医療管理加算」の増点といった、診療報酬上の特例の今後の取扱いも議論の対象になる。
総会での検討に先立って、厚生労働省がコロナ診療対応医療機関に行ったヒアリングによると、外来は発生届の簡略化や発熱外来の経験の蓄積などで業務が一部効率化されたものの、類型の変更によって今後は療養指導やフォローアップ、入院調整における自治体の関与が縮小し、医療機関の負担が増えるのではないかと懸念する声があった。入院も重症化率の低下などで、コロナ発生当初に比べて診療内容や人員体制が効率化されたが、その一方で介護施設入所者を含む高齢者の入院が増え、介護やリハビリテーション、退院支援に関する業務負担が増加する新たな課題の発生が明らかになった。
総会で診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、類型が変更されてもウイルスの感染力などに変わりはなく、医療機関では当面、現在の診療対応力を維持する必要があることを強調しつつ、自治体の役割縮小で入院調整などの業務負担が生じることに懸念を示し、特例措置の継続を強く要望した。
これに対して支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「ソフトランディングのために一部の特例は残すとしても、きわめて限定的な対応とし、最終的には完全廃止を目指すべきだ」と反論。外来における「二類感染症患者入院診療加算」算定の特例を予定通り今月末で廃止することや、入院における「特定集中治療室管理料」や「救急医療管理加算」の増点特例の縮小、初診からの電話やICTによる診療の特例の即時廃止―などを求めた。