【質問者】北野雅之 和歌山県立医科大学消化器内科教授
【放射線被ばくは,無対策では自身のみならず,医療スタッフ,患者にまで確実に大きな危険を及ぼす】
消化器内科胆膵領域診療における透視下内視鏡手技には内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreato graphy:ERCP)と超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)下ドレナージ術がありますが,そこには放射線“被ばく”という問題が存在します。被ばくには患者の被ばく(医療被ばく)と医療従事者の被ばく(職業被ばく)があり,透視下内視鏡手技を仕事とし,何年も放射線被ばくのリスクに晒される我々医療従事者には職業被ばくが大きな問題になります。無対策の場合,放射線被ばくは自分の身のみならず医療スタッフ,ひいては患者にまで確実に大きな危険を及ぼしますので,安全な透視下内視鏡手技には理解と対策,準備が必須です。
被ばく防護には「時間」「距離」「遮断」の3原則があります。
「時間」と「距離」に関しては,可能な限り透視時間を減らし,必要のないときはなるべく放射線源から遠ざかることが求められます。「遮断」に関しては被ばく防護メガネと,頸部・体幹用被ばくプロテクターの装着を徹底する必要があります。防護メガネに関しては,ゴーグル型の側面,下からの散乱線防護が可能なものが推奨されます。
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