厚生労働省は3月31日、第8次医療計画の基本方針(大臣告示)、医療計画作成指針(医政局長通知)、5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制に関する指針(地域医療計画課長通知)を公表した。都道府県はこれらの内容を踏まえ、2023年度中に第8次医療計画(24〜29年度)を策定する。なお、6事業目として追加される新興感染症への対応に関する部分の医療計画作成指針は今回含まれておらず、5月を目途に別途通知される予定。
主な内容をみると、二次医療圏の設定では留意点として、人口規模20万人未満で流入患者割合が20%未満かつ、流出患者割合が20%以上の二次医療圏は設定の見直しを検討するよう要請。見直しを行わない場合は、その理由を医療計画に記載することを改めて求めた。一方、人口規模100万人以上で、地域医療構想の構想区域としての運用に課題が生じている二次医療圏については、構想区域の設定見直しや、構想区域をさらに細分化した地域ごとに地域医療構想調整会議を開催するなどの対応を促した。
5疾病・5事業及び在宅医療では、地域の実情に応じて評価可能で具体的な数値目標を定めた上で、その達成のために必要な施策を記載するよう指示。施策の立案や実施後の評価の際に、ロジックモデル(施策が目標とする成果の達成に至るまでの論理的な関係を図式化したもの)などのツールの活用を検討することも求めた。在宅医療では、訪問看護サービスについて、在宅での看取りや重症度の高い利用者への対応が可能になるよう、訪問看護事業所間や関係機関との連携強化、訪問看護事業所の事業規模の拡大による機能強化、ICTの活用による業務効率化などに取り組むことを求めた。
医療従事者の確保では、薬剤師や看護師に関する記載の充実を図る。薬剤師については病院薬剤師の不足が喫緊の課題となっていることを踏まえ、病院・薬局それぞれにおける薬剤師の就労状況を把握した上で、地域の実情に応じた薬剤師の確保策を可能な限り医療計画に記載するよう要請。看護師は、地域で計画的に養成することを目標に、▶特定行為研修を地域で受講できるようにするため、研修体制の整備に向けた計画を具体的に記載する、▶特定行為研修修了者をはじめとする専門性の高い看護師の就業者数の目標を記載する―ことを求めている。