中央社会保険医療協議会と社会保障審議会介護給付費分科会は4月19日、2024年度の診療報酬と介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定に向けた2回目の意見交換会を開いた。高齢者施設等と医療機関の連携に関する議論では、特定機能病院を協力医療機関に選定している施設があることが明らかになり、複数の委員が強い問題意識を示した。
入所者の高齢化や平均要介護度の上昇により、高齢者施設では年々、医療ニーズが増加。入所者が住み慣れた施設での生活をできる限り継続できるようにする観点からも、施設の医師や協力医療機関との連携などによる医療ニーズへの対応力向上が求められている。
だが、その実現にあたっては、▶介護医療院と老人保健施設は施設によって対応可能な医療ニーズに差がある、▶特別養護老人ホームは配置医師の不在時に急変時や看取りの対応が困難な場合がある、▶医師の配置義務がない特定施設や認知症対応型グループホームは、外部の医療機関などとの連携体制構築が十分ではない―など、解決しなければならない課題が山積しているのが現状。また、医療機関との連携では、高度な医療を担うはずの特定機能病院などを協力医療機関としている施設があり、こうしたケースでは医療機関の医療機能と施設側が求める医療の内容の不一致が生じている可能性が高い。
議論で池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、特養における急変時や看取りの対応について、配置医師だけに頼ることには無理があるとし、外部の医師がより介入しやすくするための制度整備を求めた。田中志子委員(日慢協常任理事)は、特定行為研修修了看護師の活用を提言。「特養への配置を進めるインセンティブを検討してはどうか」と述べた。
一部の高齢者施設が特定機能病院などを協力医療機関としている件では、長島公之委員(日本医師会常任理事)が「特定機能病院との名ばかりの連携ではなく、地域包括ケア病棟や在宅療養支援病院、有床診療所などと日頃から連携体制を構築することが重要だ」と強い問題意識を表明。松本真人委員(健康保険組合連合会理事)も「機能分化の観点から疑問を感じざるを得ない」と苦言を呈した。次回は5月18日の予定。