編著: | 佐々木 潤(ニクラウスこども病院 小児循環器集中治療) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 184頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2019年03月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-6247-1 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
総 論
1 ER
1)小児救急医療の現場で遭遇するショック
2)トリアージの意義と実際
3)敗血症性ショックの初期治療
4)循環血液量減少性ショックへの輸液治療,輸液路確保
5)挿管時の鎮痛,鎮静薬の選択
6)special populationとしての新生児の発熱
2 NICU
1)未熟児の敗血症
2)新生児壊死性腸炎
3 PICU
1)心原性ショックの治療と管理
2)体循環狭窄病変による動脈管性ショックの管理
3)急性呼吸不全疾患への非侵襲性換気,高流量鼻カニューレ酸素療法の適応
4)小児ARDSと人工呼吸器の管理
5)壊死性筋膜炎
6)腹膜炎,腹部コンパートメント症候群
7)腎代替療法,AKI,血漿交換
8)循環作動薬抵抗性ショックとコルチコステロイド
9)単心室のシャント術後の低酸素飽和率への対応
10)敗血症と輸血,栄養,高血糖
11)重症敗血症の管理におけるPICUでの鎮痛,鎮静薬の選択
12)体外式膜型人工肺(ECMO)の適応と予後
13)不整脈の診断と初期対応
4 ID
1)小児癌患者の化学療法中の敗血症,発熱性好中球減少症
2)骨髄移植後の感染症
3)日和見感染症
4)フォーカスを伴う敗血症─筋骨格系感染症
索 引
近年では小児の敗血症分野でも多くの臨床研究が報告され,小児敗血症治療のガイドラインも発表されています。しかし,敗血症関連疾患による死亡率,合併症による後遺症の発生率は依然高く,敗血症へのさらなる治療の改善が強く求められています。
本書はタイトルにもあるように,“結局現場でどうする?”という状況に日々遭遇し,救急救命,集中治療,感染症,一般小児と多岐にわたる専門分野で、第一線で奮闘している小児科医たちに執筆を依頼しました。
この場をお借りして,執筆を快諾してくれた執筆陣にお礼を申し上げるとともに,長年にわたり少しずつ築き上げたネットワークがこういう形でひとつ実を結んだことがとてもうれしく思います。
私自身も含めて,彼らのほとんどが北米で臨床研修した小児科医であり,現在も北米で臨床に従事している者も多くいます。日本での小児科研修を軽視する意図は決してなく,北米で臨床に従事した少し違った視点が読者の皆様に刺激になると幸いです。
本書には意識して取り入れたいくつかの特徴があります。
“結局現場でどうする?”の状況を再現するために,症例形式をとりました。症例提示のあと,ディスカッションをとり上げ,参考文献を示しています。参照文献には,簡潔なコメントも付けました。そうすることで,元論文を実際に読んでもらいたいからです。特に,必読!とつけたものは,各章の筆者が勧める論文です。高い臨床力を有し,またエビデンスを吟味する力をもった執筆陣一押しの論文を,ぜひ読んでみて下さい。
2016年に成人の敗血症(Sepsis)の定義が改訂され,今までは,敗血症=「感染+SIRS(炎症)」だったものが,敗血症=「感染+臓器障害」となりました。小児の敗血症の新定義もこの流れを汲むと予想されます。それを意識して,SIRSという用語はなるべく使わないようにし,タイトルも敗血症(Sepsis,ショック)とすることにしました。
感染症とは直接関連はしませんが,私の専門である小児循環器集中治療の症例も多少含まれています。
敗血症は,成人も含めると2〜3秒に1人が世界のどこかで敗血症で死亡していることになるほど“common disease”です。第一選択はドパミン?ノルアドレナリン?という疑問を感じたことのある医師はもちろん,看護師や,臨床工学士の皆さんにも本書をお読み頂けると幸いです。
最後になりましたが,この企画を(無謀にも?)何も著作がなかった私に提示して頂いた日本医事新報社出版局の皆さんにお礼を申し上げるとともに,今後も本書をきっかけに広がるいろいろな可能性を信じながら筆(正確にはタイピングする指を!)をおきます。
佐々木 潤
2019年1月 常夏のマイアミにて