日本医師会など医療・介護に関わる12団体は5月25日、2024年度のトリプル改定で物価・賃金の高騰に対応して必要財源を確保することを求める合同声明を発表した。
名前を連ねたのは日医、日歯、日薬、日看協、四病協のほか全国医学部長病院長会議、全国老人保健施設協会など。合同声明では、「こども・子育て、少子化対策の財源を捻出するため、診療報酬・介護報酬の抑制、医療機関収支の適正化等を行うべきとの意見もあります。こども・子育て、少子化対策は大変重要な政策ですが、病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはなりません」と強調。医療・介護分野で物価高騰・賃金上昇に対する取り組みを進める必要があることを指摘した上で、「『骨太の方針』に、令和6年度のトリプル改定での物価高騰と賃上げへの対応を明記していただき、必要財源を確保することを医療・介護界全体で強く求めます」と訴えている。
政府は少子化対策を今後3年間で集中的に強化するため、3兆円規模の財源を6月の「骨太の方針」に盛り込む方針。岸田首相は増税での対応を否定していることから、社会保障費の歳出削減と社会保険料の上乗せで財源を捻出する考えが浮上している。特に医療・介護で2兆円規模の歳出削減を検討しているとされることから、急遽合同声明の発表に至ったもの。
5月31日には日医会館で国民医療推進協議会を開催し、医療・介護分野における物価高騰・賃金上昇に対応した診療報酬・介護報酬の引き上げを求めていくとしており、「骨太の方針」決定まで社会保障財源を巡る攻防が続くものとみられる。