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訪問薬剤管理指導と服薬管理(ポリファーマシーを含む)[私の治療]

No.5171 (2023年06月03日発行) P.42

矢吹 拓 (国立病院機構栃木医療センター内科副部長)

登録日: 2023-06-06

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  • 「在宅患者訪問薬剤管理指導(訪問薬剤管理指導)」とは,在宅で療養している患者が通院困難な場合に,保険医療機関の薬剤師が,医師および患者の同意を得て患者宅を訪問して,薬剤管理指導記録に基づいた服薬指導や服薬支援などの服薬管理を行うことである。
    高齢化に伴い在宅医療を受けている患者が増えてくる中で,訪問診療や訪問看護と並んで,在宅患者をサポートする訪問薬剤の重要性が増している。

    ▶医療者としての対応

    【具体的な指導内容】

    処方箋に基づき医薬品や衛生材料を供給し,服薬指導を行うことが主な役割である。特に外出が困難な場合には,直接薬剤を供給し,現場で服薬指導や残薬の把握ができることは患者や家族にとって大きなサポートになる。また,緊急時の調剤や夜間・休日などの処方について相談を受けることもある。上記の指導以外に,重複投薬や相互作用に関する薬剤調整や残薬調整を行った場合にも,診療報酬を算定できる。

    薬剤師が直接患者宅に訪問することで,在宅医療に携わる医療・介護の多職種と連携をとることができるようになり,在宅患者や家族を見守る在宅チームの一員として役割を果たすことにも期待が集まる。

    【服薬アドヒアランスへのアプローチ】

    薬剤師が患者宅に訪問することによって,患者の服薬アドヒアランスを確認することができる。患者に服薬状況を確認するだけでなく,実際の服用方法や薬剤保管場所を確認し,直接残薬を確認することもできる。また,家族からの情報などを通して,病院や薬局受診の際には気づけなかった服薬アドヒアランスの状況を把握することが可能になる。一般的に,高齢者や慢性疾患患者の服薬アドヒアランスは低いことが知られており,必要なアプローチを考えることにつながる。患者宅への訪問は,服薬アドヒアランスや患者の薬剤知識の向上には一定の効果があるとされているが,入院や救急外来受診などの医療資源使用についての効果は不明である1)。具体的な介入方法としては,毎回の訪問時に服薬状況や残薬を確認する,お薬カレンダーによって管理方法を確認する方法がよく用いられている。

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