政府は6月13日、次元の異なる少子化対策として「こども未来戦略方針」を閣議決定した。同日開かれたこども未来戦略会議(議長=岸田文雄首相)で取りまとめられたのを受けたもので、今後3年間に集中的に取り組む「こども・子育て支援加速化プラン」などが盛り込まれている。
ただし、その財源については、6月1日に戦略会議が発表した原案からほとんど変化はなく、歳出改革の徹底で実質的に追加負担を生じさせないことを目指す方針を表明。その歳出改革や支援金制度(仮称)の詳細については、「年末に結論を出す」と記述するにとどまった。
13日夜に記者会見を行った岸田首相は、「2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」として、スピード感を重視した取り組みを強調。「加速化プラン」のうち出産費用について、「費用の見える化を進め、多様なサービスを皆様が選べる環境を整えながら、2026年度からの出産費用の保険適用などを進める」と述べ、保険適用を行うことを明言した。医療ケア児への支援策も、自ら指示して前倒しで実施することを説明した。
記者からは、財源問題について、「追加負担を生じさせない」との文言について「既に高齢化で保険料率は上昇している。その中で保険料が上がらないようにするという意味なのか、高齢化の伸びの範囲で収めるということなのか」との質問が出された。
これに対し岸田首相は、「高齢化によって医療・介護の保険料率は上昇していく。徹底した歳出改革等によって、公費を節減、保険料の上昇を抑制し、その中で支援金を構築することで実質的な追加負担とならないことを目指したい」と説明。高齢化による負担の伸びの範囲内で収めるよう歳出改革を行う考えを示唆した。