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エッツィ・ジ・アイスマン [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(63)]

No.4767 (2015年09月05日発行) P.76

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

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  • エッツィってなんやねんと思われる人がほとんどだろうか。25年ほど前、イタリア・オーストリアの国境近く、エッツ谷の氷河で見つかった5千年前のミイラである。
    イタリアのボルツァーノという町にある南チロル考古学博物館は、エッツィ(Ötzi)のためだけの博物館。ドロミテ旅行(前号参照)の帰り道、興味津々で立ち寄った。

    一番の見物はエッツィそのもの。マイナス6℃、湿度99%の冷凍庫に保存されたエッツィの実物をガラスの小窓からのぞき込むことができる。氷河から掘り出されたままのいびつなポーズで、木にニスを塗ったような光沢を放っていた。

    エッツィが考古学的に極めて貴重なのは、所持品と一緒に発見されたからだ。あごひも付き毛皮の帽子、靴、そしてレギンス。傷んでいるが、いろんな色の革が使われていて、けっこうファッショナブル。

    弓矢、革の矢筒、そして銅の斧。どれもなかなかの性能を持っているらしい。本や雑誌で見たことはあったが、本物を見ると、実によくできていることがわかる。千数百年前まで同じようなものが使われていたのかと思うと感慨もひとしおだ。

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