中央社会保険医療協議会は6月21日、2024年度診療報酬改定に向け、外来医療をテーマに議論した。この中で支払側はかかりつけ医機能に関連した既存報酬の体系的な整理を提案したが、診療側はいずれの報酬も必要があって設定されており、算定要件や評価の趣旨も異なるなどと説明し、理解を求めた。
外来医療の論点として厚生労働省はこの日、(1)23年の医療法改正を踏まえたかかりつけ医機能の強化等や外来機能の明確化・連携を推進し、患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための診療報酬のあり方について、今後の医療DXの推進も踏まえ、どう考えるか、(2)生活習慣病対策、外来機能の分化を推進していく観点から、効果的・効率的な医療を提供するための診療報酬のあり方をどう考えるか、(3)前回改定を踏まえた今後のオンライン診療の適切な評価をどう考えるかーの3項目を提示した。
(1)の23年の医療法改正(全世代社会保障法の一部)では、かかりつけ医機能報告制度などの創設が決まっている。施行は25年4月だが、24年度改定に向けて外来医療の評価のあり方を検討する際には、これらの制度改正も見据えた議論が求められる。
議論で診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、診療所が単独ですべてのかかりつけ医機能を担うことは難しく、在宅療養支援病院、「地域包括診療料」の算定病院などと連携して対応した場合の評価を検討する必要があると指摘。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「安易に評価を新設するのではなく、既存のかかりつけ医機能の(診療報酬上の)評価を体系的に整理するべきだ」と主張したが、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「様々な加算や管理料があるが、趣旨や算定要件は異なる。かかりつけ医機能を有する医師が基本的な医学管理に加え、専門的な医学管理を行うことがあることも理解していただきたい」と反論した。
(3)のオンライン診療は普及を推進していくことに反対はないものの、支払・診療側の双方から患者の安全と医療の質を確保するために、オンライン診療の実施に関する指針や、診療報酬上の算定要件を順守した適切な運用となっているかを十分検証する必要があるとの見解が示された。