社会保障審議会医療保険部会は6月29日、「第4期医療費適正化計画」(2024〜29年度)の基本方針案を了承した。効果が乏しいというエビデンスが指摘されている医療や、医療資源の投入量に地域差がある医療について、新たに目標を設定することなどが柱。基本方針の告示は7月中旬の予定で、これを受けて都道府県は23年度中に新計画を作成する。
基本方針によると、第4期計画では今後の高齢者人口の増加を見据え、(1)高齢者の心身機能の低下等に起因した疾病・介護予防、(2)医療・介護の連携を通じた効果的・効率的なサービス提供―について新たに目標設定を行う。後者では、高齢者の大腿骨骨折について、早期に治療を開始するための骨粗鬆症健診の受診率向上、機能予後等を高めるための骨折手術後の早期離床の促進、介護施設等の入所者等を含む退院後の継続的なフォローアップ、二次性骨折を予防するための体制整備―などの計画への記載を都道府県に求めた。
医療資源の効率的・効果的な活用を促す観点から、①効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療(急性気道感染症・急性下痢症への抗菌薬処方)、②医療資源の投入量に地域差がある医療(白内障手術・化学療法の外来での実施、リフィル処方箋)―も目標設定の対象に追加。バイオ後続品の使用でも、「80%以上置き換わった成分数が全体の60%以上」(数量ベース)とする目標を新設する。
既存の後発医薬品の使用に関する目標は見直す。具体的には、まず国が23年度中に金額ベースの観点を踏まえた新たな政府目標を設定。これを受けて都道府県は24年度に目標設定を行う。現時点で23年度末の政府目標(数量シェア80%以上)に未達の都道府県には、当面の対応として当該目標の早期達成を求める。
医薬品の適正使用推進では、高齢者の多剤投与適正化の取組対象を現行の15剤以上から6剤以上に拡大。重複投薬の確認が可能な電子処方箋の普及も促進する。第3期計画で未達成となる見込みの特定健診・特定保健指導の実施率の目標は、それぞれ70%、45%のまま据え置く。このうち特定保健指導については新たな取組として24年度からアウトカム評価やICTを活用した遠隔での指導を導入し、実施率の向上を図る。