日本医学放射線学会は今年4月、全国の大学病院で撮影した医用画像を集約して一元管理するデータベース「日本医用画像データベース(J-MID)」のクラウド管理基盤を構築した。J-MIDの目的とこれまでの成果、今後の可能性について、同学会理事長で順天堂大学医学部放射線診断学講座教授の青木茂樹氏と、実務を担当する同講座准教授の明石敏昭氏に聞いた。
青木 J-MIDの主な目的は、画像診断領域の安全管理、医療被ばく管理をするためのシステム構築と、AI(人工知能)などICT技術を活用した画像診断技術の研究開発の推進です。
そもそも、わが国では画像診断機器が適正に配置されておらず、管理が不十分で被ばく量が多いCTがあるなどの問題が指摘されていました。日本医学放射線学会ではそういった状況を改善するために、ビッグデータやAIなどを利活用し、画像診断各領域の安全性と効率性を向上させるシステムの構築をめざす「Japan Safe Radi-ology」の概念を2014年に提唱しました。
その実現のためには精度の高い多施設の医用画像を集約したデータベースが不可欠です。16年から日本医療研究開発機構(AMED)の画像診断ナショナルデータベース事業としてJ-MID構築の準備を開始し、18年からデータの集約を始めました。AMEDの事業は既に終了し、現在は、学会がJ- MIDを運用しています。