診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は7月20日、外来医療などについて議論した。かかりつけ医機能の評価では、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の治療管理における「生活習慣病管理料」の算定が低調である一方、これら3疾患が対象疾患に含まれる「特定疾患療養管理料」の算定割合が高いことがわかった。今後、「生活習慣病管理料」の算定促進策や、「特定疾患療養管理料」との関係性の整理などが議論されることになりそうだ。
かかりつけ医機能を担う医療機関の高血圧症、糖尿病、脂質異常症の患者への対応では現在、日常的な治療管理は「地域包括診療料・地域包括診療加算」、専門性の高い治療管理を要する場合は「生活習慣病管理料」で評価すると、大まかに整理されている。しかし、「生活習慣病管理料」の算定回数・施設数は横ばいから微増で推移しており、2018年以降、算定医療機関数は3疾患ともそれぞれ2500~3000施設でほとんど変わらない。
22年の入院・外来医療等における実態調査によると、「生活習慣病管理料」の算定で困難を感じることを尋ねたところ、①療養計画書を作成し、患者に説明の上、署名を受けること、②自己負担額(点数設定570〜720点と高い)について患者の理解が得にくい―を挙げる施設が多かった。
また、主病が高血圧症の患者の外来診療の算定回数は、「再診料」(950万回)や「外来管理加算」(767万回)に次いで「特定疾患療養管理料」(746万回)が多く、「生活習慣病管理料」(13万回)を大きく上回っている。この傾向は糖尿病、脂質異常症でも同様だった。
「特定疾患療養管理料」は広範な疾患が算定対象であるにもかかわらず、同管理料の全算定件数に占める主傷病名の割合では、高血圧症(57.7%)、糖尿病(16.2%)、脂質異常症(23.9%)で高いが、心不全はわずか2.3%だった。
委員からの意見は、「特定疾患療養管理料」から「生活習慣病管理料」への移行を促す必要があるとの認識で概ね一致。中野惠委員(健康保険組合連合会参与)は、煩雑との指摘もある療養計画書の作成手続きについて、「電子カルテ情報の活用など、最新技術を使って効率化した上でそれに見合った点数を設定し(点数を下げる)、患者負担が抑制されれば、結果として特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料への移行が進むのではないか」との見解を示した。
井川誠一郎(日本慢性期医療協会副会長)は、「特定疾患療養管理料」の対象疾患が広範に及ぶ点などを問題視し、「特定疾患療養管理料そのものの見直しが必要なのではないか」と述べた。