中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会は8月2日、費用対効果評価制度の見直しについて、日本製薬団体連合会など医薬品・医療機器の業界から意見を聴取した。論点の1つである費用対効果評価結果を踏まえた価格調整の対象範囲の見直しについては、両業界とも反対姿勢を示した。
費用対効果評価制度は市場規模が大きい、または著しく単価が高い医薬品・医療機器を対象に、いったん保険収載した上で費用対効果を評価し、価格調整を行う仕組み。指定難病や小児のみに使用される品目は対象外とされ、2019年4月から運用が開始された。
医薬品の場合、価格調整の対象範囲は、保険収載時の薬価算定方式に応じて、①類似薬効比較方式または原価計算方式で製品総原価の開示が50%以上:有用性系加算部分、②原価計算方式で製品総原価の開示度が50%未満:営業利益及び有用性系加算部分―と定められているが、各側は対象範囲の拡大を求めている。
医薬品業界としてヒアリングに出席したのは日薬連、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の4団体。費用対効果評価制度は薬価制度を補完する位置づけであるため、加算部分の調整を行うことが基本であるべきだとして対象範囲の拡大に異議を表明した。日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)など4団体の医療機器業界も、評価終了品目が2品目にとどまるなど事例集積が十分でないことを理由に、拙速な拡大は行うべきではないと反対した。
医薬品業界はこのほか、評価対象から希少疾病用医薬品を除外するよう要請。また、比較対照技術の選定について、①臨床的に幅広く使用されている、②評価対象技術によって代替されることが想定される―などの基準が設けられているにもかかわらず、実際は「最も安価なもの」という理由だけで選定された事例が散見されるとして、本来の選定基準に基づく適切な運用を求めた。さらに、比較対照技術よりも費用対効果が優れるとの結果が出た場合であっても、条件の厳しさから価格調整に反映されないことがあると指摘。現行の価格引き上げに必要な条件の緩和・撤廃を検討すべきだと訴えた。