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■NEWS 一般病棟用の看護必要度、A項目の見直しが論点に―入院・外来医療等分科会

No.5183 (2023年08月26日発行) P.71

登録日: 2023-08-21

最終更新日: 2023-08-21

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診療報酬調査専門組織の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」は810日、一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」などについて議論した。この中で、A項目の「救急搬送後の入院/緊急入院を必要とする状態」について、急性期病棟で高齢の救急搬送患者を受け入れるインセンティブになっている可能性が示唆されたことから、見直しを求める声が上がった。

高齢の救急搬送患者への対応は次期診療報酬改定での大きな課題の一つ。誤嚥性肺炎や尿路感染症といった日常的な疾患で三次救急に搬送されるケースや、急性期病棟に入院するケースが散見され、限られた医療資源を有効活用する観点から、これまでの議論では、二次救急や地域包括ケア病棟での対応を原則とするよう求める意見が多く出ている。

厚生労働省のデータによると、75歳以上の患者が「急性期一般入院料1」に入院した場合と「急性期一般入院料26」や「地域一般入院料12」に入院した場合で医療資源投入量を比較すると、前者は後者に対して全体の平均が2.4倍のところ、誤嚥性肺炎(全体の症例に占める割合は3.3%)については1.2倍、尿路感染症(1.5%)では1.4倍と比較的差のない結果となった。

A項目の救急搬送後の入院等への該当が全疾患平均よりも高い傾向 

一方で、これらの疾患における看護必要度の該当患者割合は、「急性期一般入院料1」の施設基準(看護必要度IIの場合で2528%)と同程度に高い。その原因を分析すると、「急性期一般入院料1」を算定する75歳以上の誤嚥性肺炎や尿路感染症等の患者は、全疾患平均と比べ、①A項目(モニタリング及び処置等)のうち「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」(2点)の該当割合が高い、②ADL等の低下などでB項目(患者の状態等)に該当しやすい、③このため該当患者の基準である「A得点2点以上かつB得点3点以上」を満たす割合が高い―ことが判明。 

これらの結果から、誤嚥性肺炎や尿路感染症等で救急搬送や緊急入院した高齢者の受入で該当患者割合を満たしやすくなる可能性が考えられた。

委員からは、「医療資源の投入量が変わらないのであれば、受け入れやすい報酬をつければ地域包括ケア病棟や急性期一般入院料2以下への受入が進むのではないか」(牧野憲一委員・旭川赤十字病院院長)、「A項目の『救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態』の減点や評価期間(5日間)の短縮など、何らかの見直しが必要ではないか」(秋山智弥委員・名古屋大学医学部附属病院・卒後臨床研修・キャリア形成支援センター教授)といった意見が出された。

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