オミクロン株XBB.1.5対応1価ワクチンの使用を基本とする2023年秋冬の新型コロナワクチン追加接種が9月20日から始まる。接種対象者は生後6カ月以上の希望者全員。9月20日以降は初回接種のワクチンもXBB対応ワクチンの使用が基本となる。2023年秋冬接種のこれまでの接種との違い、薬事承認される予定のファイザー社/モデルナ社のXBB対応ワクチンの特性を整理する。
ファイザー社とモデルナ社がそれぞれ7月7日に申請したXBB.1.5対応1価ワクチンは、マウスを用いた非臨床試験で、新変異株XBB.1.5に対し現行の2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されている。
厚生労働省は、こうした知見に基づいて行われた厚生労働科学審議会予防接種・ワクチン分科会などの議論を踏まえ、秋冬接種ではXBB.1.5対応1価ワクチンの使用を基本とする方針を決定。8月4日付の事務連絡で全国の自治体などに周知した。
厚労省はさらに8月9日の予防接種・ワクチン分科会で、2023年秋開始接種(秋冬接種)は「重症化予防」を目的としていることから、初回接種も含め公的関与の規定(予防接種法第8条の「接種勧奨」および第9条の「努力義務」)は重症化リスクの高い者のみに適用することを提案し、了承を得た。
8月10日の自治体向け説明会で厚労省が示した資料をもとに、2022年秋開始接種、2023年春開始接種と2023年秋開始接種の接種対象者や公的関与の有無を整理したのが表1。
新型コロナワクチン接種は2023年度中は引き続き特例臨時接種として位置づけられるため、接種はすべて自己負担なしで受けられる。しかし、ハイリスク者(65歳以上の高齢者や基礎疾患を有する者その他重症化リスクが高いと医師が認める者)以外の対象者は、公的関与の適用外となる。
使用するワクチンは、XBB対応1価ワクチンが基本となるが、厚労省は、何らかの理由でmRNAワクチンが接種できない人のために、組換えタンパクワクチン(武田薬品工業の「ヌバキソビッド筋注」)の選択肢も確保する意向だ。
厚労省は10日の説明会で、薬事承認前の情報として、ファイザー社のXBB.1.5株1価ワクチン、モデルナ社のXBB.1.5株1価ワクチンそれぞれの特性なども示した。
ファイザー社は12歳以上用(コミナティRTU筋注)、5~11歳用(コミナティ筋注5~11歳用)、6カ月~4歳用(コミナティ筋注6ヵ月~4歳用)の3種類の製剤、モデルナ社は6歳以上を対象として12歳以上の接種量を0.5mL、6歳~11歳の接種量を0.25mLとした製剤(スパイクバックス筋注)を申請しているとみられる。12歳以上に使用する製剤について両社のXBB.1.5株1価ワクチンの特性を見たのが表2。
10日時点の情報では、これまでのオミクロン株対応2価ワクチンと比べ、モデルナ社ワクチンは温度管理・保存期間に変更はないが、ファイザー社ワクチンは-75℃±15℃での保存期間が「24カ月」から「18カ月」に変わる見込みとなっている。
厚労省は両社のXBB.1.5株1価ワクチンを迅速に導入するため、品質や非臨床試験のデータの確認のみで承認の判断を行う意向。
8月21日現在、各都道府県への配送については、①ファイザー社12歳以上用ワクチンは9月4日の週から、②ファイザー社の5~11歳用ワクチンは9月18日の週から、③ファイザー社の6カ月~4歳用ワクチンは9月25日の週から、④モデルナ社のワクチンは9月25日の週から─スタートさせる方針を示している。