中央社会保険医療協議会薬価専門部会は7月26日、薬価収載後の新薬の評価について議論した。このうち市場拡大再算定が対象薬の薬理作用類似薬(類似品)にも適用される、いわゆる「共連れルール」では、厚生労働省が類似品の取扱いを論点として提示したが、各側委員は揃って慎重姿勢を示した。
2008年度の薬価制度改革では市場拡大再算定の対象範囲について、市場で競合している医薬品に対して公平な薬価改定を行うという考えの下、市場拡大再算定対象医薬品のすべての薬理作用類似薬を類似品として扱い、価格調整するルールを導入。12年度の改革では、必要な医薬品の供給を確保する観点から配慮が必要な医薬品を市場拡大再算定類似品から除外する見直しが実施されている。
この日の部会で厚労省は、薬理作用類似薬であっても効能が異なるものがあるなど、ルール導入当初とは状況が変わってきていると説明。たとえば、21年に市場拡大再算定の対象になった抗癌剤の「テセントリク」の場合、薬理作用類似薬(PD-1/PD-L1阻害薬)には、「オプジーボ」、「キイトルーダ」、「バベンチオ」、「イミフィジン」の4剤がある。いずれも複数のがんの効能を持つが、「バベンチオ」のみ「テセントリク」と重複する適応がなかったため、この時は類似品から外され、再算定も適用されなかった。
厚労省はこうした実情や、関係業界が予見性を確保できないとして共連れルールの廃止を求めていることなどを踏まえ、市場拡大再算定における類似品の取扱いを論点として提示した。しかし各側の委員からは、「議論することを否定はしないが、皆保険の維持という点にきちんと向き合うことが重要だ」(長島公之委員・日本医師会常任理事)、「前回の改革で、特例拡大再算定の適用になった場合、4年間は類似品の対象から1回だけ除外する取扱いが導入されたばかりであり、その影響を検証しない段階で廃止まで踏み込むのは少し難しいと感じる」(松本真人委員・健康保険組合連合会理事)など、慎重意見が相次いだ。