中央社会保険医療協議会は7月26日に開いた総会で、感染症をテーマに議論した。新興感染症対策では新型コロナ対応と連動した現行の「感染対策向上加算」の施設基準を、「第8次医療計画」における都道府県との事前協定の枠組みと整合が取れるように見直す必要性を指摘する声が上がった。
2022年度診療報酬改定では、①「感染防止対策1、2」を「感染対策向上加算1〜3」に再編、②診療所が対象の「外来感染対策向上加算」の新設―を実施。これにより、「感染対策向上加算1」届出病院を指導役として届出病院・診療所が連携し、地域の感染症対策を面で支える体制の整備を後押しした。各加算の新興感染症発生時の体制に関する施設基準は、「感染対策向上加算1」は重点医療機関、「外来感染対策向上加算」は発熱外来(診療・検査医療機関)というように、新型コロナにおける対応と連動した内容となっている。
22年7月1日時点での各加算の届出状況は、「感染対策向上加算1」が1248施設、「加算2」が1029施設、「加算3」が2042施設、「外来感染対策向上加算」が1万6224施設。
一方、21年の医療法改正により、新興感染症への対応(病床確保や発熱外来等)について、平時に都道府県と医療機関が協定を締結することが法定化された(24年4月施行)。中でも流行初期から対応にあたる医療機関は、通常医療の制限によって減収が生じることから、都道府県はそれを補うための財政支援(流行初期医療確保措置)付き協定をこれらの医療機関と結ぶことになっている。24年度からの「第8次医療計画」では、「新興感染症等の感染拡大時における医療」が記載事項として追加され、感染拡大に対応可能な医療機関・病床確保などが盛り込まれることになる。
協定締結医療機関数の全国目標は、入院(病床)が3000施設(5万1000床)、発熱外来が4万2000施設。入院の場合、協定締結医療機関は「感染対策向上加算1〜3」の届出施設から、財政支援付き協定の締結医療機関(目標500施設)は「加算1」の届出施設から、それぞれ選ばれることが想定される。しかし現状では、加算届出施設数が協定締結目標数を大きく上回るほか、そもそも新型コロナ対応を念頭に制度設計された加算の施設基準は、協定の枠組に沿った内容とはなっていない。
このため総会では複数の支払側委員から、「次回改定で第8次医療計画(における協定の枠組み)と診療報酬の内容の整合を図るなどの対応が必要ではないか」(眞田亨委員・日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)といった意見が示された。