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ERCP後膵炎の予防と発症時の対処について

No.5186 (2023年09月16日発行) P.50

岩崎栄典 (慶應義塾大学医学部消化器内科専任講師)

北村勝哉 (東京医科大学八王子医療センター消化器内科教授・科長/内視鏡部部長)

登録日: 2023-09-13

最終更新日: 2023-09-12

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  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)後膵炎は胆膵内視鏡医にとって重要な問題です。その予防と発症時の対処について,ガイドライン作成委員である東京医科大学八王子医療センター・北村勝哉先生にご解説をお願いします。

    【質問者】岩崎栄典 慶應義塾大学医学部消化器内科専任講師


    【回答】

    【ERCP後膵炎の危険因子に対する予防と膵炎の早期診療が重要である】

    ERCP後膵炎は処置後偶発症の中で最も発生率が高く,重症化の際は致死的な状況に陥る場合があります。これまでERCP後膵炎の発生率は3.5~10%,重症率は0.4~0.5%,致命率は0.1~0.7%と報告されており1)2),ERCP後膵炎の発症予防と発症時の対処が重要となります。

    近年は,CTやMRIなどの画像診断の進歩に加えて経皮的または超音波内視鏡による代替治療があるため,担当医はERCPの利点と欠点を考慮して適応を決定し,患者や家族,キーパーソンにERCPの目的と手技内容,偶発症についてインフォームドコンセントを得る必要があります。また,ERCP後膵炎の危険因子を認識することが重要です。

    患者側危険因子には,十二指腸乳頭括約筋機能不全,女性,膵炎既往,ERCP後膵炎既往,膵管内乳頭粘液性腫瘍,若年,血清ビリルビン値正常,非慢性膵炎,口側隆起の長い乳頭3)4)などがあり,手技側危険因子には,プレカット, 膵管挿管,挿管回数5回以上, 挿管時間10分以上, 乳頭バルーン拡張, 不完全な胆管結石除去5)〜10)などがあります。

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