診療報酬調査専門組織の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」は9月6日、急性期病床に入院する高齢患者へのリハビリテーションの実施について議論した。入院中のADL低下を避けるため、早期かつ継続的なリハビリの実施が必要との認識で一致。休日リハビリの実施に対する評価や、「ADL維持向上等体制加算」の評価引き上げなどを求める意見が示された。
誤嚥性肺炎や脳卒中患者では、入院早期からのリハビリテーションの実施が推奨されており、DPCデータの解析結果からは、休日にもリハビリを実施した群のほうが、平日リハビリのみの群よりもADLの改善効果が高いことが明らかになっている。しかし「急性期一般入院基本料」の算定病棟におけるリハビリの実施率にはばらつきがあり、休日リハビリを行っていない施設の割合は、土曜日28.4%、日曜日67.9%、祝日56.8%に及ぶのが実情。
入院中の患者のADLの維持・向上のための取組を評価する「ADL維持向上等体制加算」(1日80点)の届出数も95施設に留まり、届出をしない理由では、「理学療法士等を確保できない」との声が多い。
このため分科会の議論では、複数の委員が「ADL維持向上等体制加算」の低い点数設定ではリハビリ専門職を確保するのは困難だとして、評価の引き上げを要望。休日のリハビリ実施に対する評価を求める意見もあった。
この日は療養病棟の医療区分についても議論した。これまでの分析では、同一医療区分であっても「疾患・状態」と「処置等」のどちらで該当したかによって医療資源投入量や、その内訳が異なることが明らかになっている。
そこで今回は追加分析として、「疾患・状態」と「処置等」の組み合わせによる医療資源投入量の違いを比較・検証した。その結果、例えば医療区分3では、①「疾患・状態」、「処置等」とも医療区分3の組合せは、それ以外の組合せよりも医療資源投入量が高い、②「疾患・状態」は医療区分3、「処置等」は医療区分1・2の組合せは、それ以外の組合せよりも医療資源投入量が低い―ことが判明。医療区分2でも組合せの違いで医療資源投入量に差があった。このため分科会では、「疾患・状態」または「処置等」の分類に基づいて医療区分の評価の精緻化を図っていく方向性が確認された。