診療報酬調査専門組織の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」は10月12日、これまでの検討結果のとりまとめ案を大筋で了承した。今後、分科会長預かりでの修文を経て、確定した内容を中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に報告する。
9月14日の中間とりまとめからの主な追加事項をみると、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)のA項目では、2022年度診療報酬改定時に従来の「点滴ライン同時3本以上の管理」から変更された「注射薬剤3種類以上の管理」について、詳しい検証を実施。その結果、①見直し後は当該項目への該当割合がいずれの入院料でも上昇した、②対象になった注射薬剤の成分は該当日数が長期になるにつれ、静脈栄養に関連するものの割合が増加していた―ことがわかった。このため分科会では、当該項目の対象薬剤や上限日数とともに、初期を重点的に評価することを検討するべきだとの意見があった。
ADLなどを評価するB項目については、「急性期一般入院料1」などの看護配置7対1の病棟の評価基準から外すべき、評価基準から外す場合もADL状況等の把握のために測定自体は継続すべき、評価基準に残す場合も項目の追加や評価方法の見直しが必要―など、様々な意見が出ている。
入院医療ではこのほか、「救急医療管理加算」について、重症度分類(JCSやNYHAなど)のスコアと転帰は相関しているにもかかわらず、重症度スコアの高低に関係なく加算1、2の算定区分が選択されている可能性があることがわかり、問題視されている。
外来医療では、かかりつけ医機能の1つでもある介護との連携について、「機能強化加算」の届出施設であっても、サービス担当者会議や地域ケア会議への参加が5割にとどまることから、これらの取り組みを推進すべきとの指摘があった。また、25年4月から、かかりつけ医機能として提供する医療の内容の患者への説明が努力義務化されることを見据え、書面を使った説明の実態を把握。患者の7割は病状と治療に関する説明を希望しているのに、説明を実施している医療機関は5割程度であることから、両者の乖離が小さくなるよう診療報酬上での対応を検討すべきとの意見があった。