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■NEWS 長期収載品、後発品の薬価超過部分を一部患者負担へ―医療保険部会

No.5196 (2023年11月25日発行) P.70

登録日: 2023-11-20

最終更新日: 2023-11-20

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社会保障審議会医療保険部会は119日、薬剤自己負担や入院時の食費の見直しについて議論した。薬剤自己負担では、長期収載品の使用を選定療養とし、後発品の薬価を超える費用の一部を患者負担とする方向を確認した。

厚労省はこの日の部会に、2024年度に向けた制度改正の議論では、後発品の使用促進や、国内製薬企業に長期収載品の売り上げに依存したビジネスモデルからの転換を促す観点から、長期収載品の保険給付のありかたの見直しを中心に検討を進めることを提案し、了承された。

今後は、(1)医療上必要な医薬品の取り扱い(除外基準の設定)、(2)保険給付と選定療養における自己負担の範囲、(3)長期収載品の後発品への置き換え率に応じた薬価の段階的引き下げといった薬価上の措置との関係、(4)後発品の安定供給との関係―などの議論に移る。

このうち(2)については、後発品の薬価を参照価格として超過分を全額自己負担とする案(参照価格制度)もあるが、患者負担の急増につながることから、部会では患者負担は超過費用の一部にとどめるべきだとの意見が大勢を占めている。

■入院時の食費を約30年ぶりに見直し、自己負担額引き上げへ

入院時の食費については、昨今の食材料費や光熱水費の高騰への対応として、患者自己負担を引き上げる方針を固めた。

入院時の食費は、国が1食当たりの総額と患者自己負担額を定め、差額を「入院時食事療養費」として保険給付する仕組みとなっている。一般的な所得の場合の設定額は、1食当たりの総額が640円、うち保険給付額は180円、患者自己負担額は460円。設定額は1997年から30年近く据え置きとなっているが、①食材料費や光熱水費の高騰で病院給食の委託単価が1食当たりの総額を上回る逆ざやの状況が続いている、②自己負担額が介護(約482円)よりも低く、介護保険施設入所者との公平性に欠ける―ことなどから見直しの必要性が指摘されている。

部会では入院時の食費のうち、食材料費と調理費相当分とされる自己負担額の引き上げを了承。一方、保険給付部分の入院時食事療養費については据え置きと拡大の両論が出ている。部会と並行して中央社会保険医療協議会では主に1食当たりの総額の見直しを議論する。翌1110日の総会でも自己負担額引き上げの方針が確認されたが、療養費の見直しに関しては部会同様、意見が割れている。

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