1月1日に発生した能登半島地震を受け、厚生労働省は同日、災害対策本部(本部長=武見敬三厚生労働相)を設置した。さらに事務次官、医務技監の下に関係局長、審議官による健康危機管理チームを設置。これは医療、健康、社福、物資の4チームからなり、さらに現地対策本部チームとして関係課・室の担当者を派遣している。
4日には医療関係団体等緊急連絡会議を省内で開催。日本医師会をはじめ16団体が出席し、同省との間で状況報告などが行われた。
対策本部が11日12時時点で集計したところによると(第27報)、医療施設の被害状況は、石川県内の10医療機関、富山県内の1医療機関で水・医療ガス使用不可の被害が発生中。さらに石川県内の2医療機関において倒壊のおそれがある建物がある(患者は搬送済み)としている。
医療支援の状況は、DMATは156隊(石川県庁本部で39隊、病院・避難所で117隊)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)は21隊が活動中。DMAT調整本部が北陸3県と新潟県で、DPAT調整本部が32都道府県で立ち上がっている。
このほか感染症予防のため、日本環境感染学会災害時感染制御支援チーム(DICT)が3日から活動中。10日からは国立国際医療研究センター、国立感染症研究所からも専門家が派遣されている。
人工透析については、石川県内の6医療機関で透析不可との情報が確認された。通院が困難な患者については4日までに概ね搬送済みで、受け入れ先の医療機関で透析を実施中とされている。
厚労省からは医療、介護、福祉などで特例的な対応を定めた通知が相次いで発出されている。
医療保険関係では、被災者について、被保険者証を提示できない場合でも保険診療による受診が可能であること、また一部負担金や保険料の減免が可能であることを各自治体や保険者団体に周知。被災者がマイナンバーカードを保険医療機関において提示できない場合でも、薬剤情報などを閲覧可能となるよう緊急時機能のアクティブ化を行ったことなどを発表した。
このほか被災地でレセプトコンピュータを滅失等した保険医療機関には、診療報酬を概算請求できる旨も通知された。
介護保険関係でも、被災した要介護高齢者に特別な対応(利用者負担の減免ができることや定員超過利用が認められることなど)について周知し、県に対して特段の配慮を要請。介護サービス事業所が被災した場合には、介護報酬についても緊急的に柔軟な対応が可能であることを通知した。