中央社会保険医療協議会は12月27日、医療DXをテーマに意見を交わした。2024年秋の健康保険証の廃止に向けてマイナ保険証の普及が急がれる中、医療現場でカードリーダーの操作に不慣れな患者への説明など、患者への利用勧奨に取り組む医療機関の評価が論点の1つとなった。
患者へのマイナ保険証の利用勧奨の取り組みについて、厚生労働省は23年度の補正予算を活用し、マイナ保険証の利用率が一定以上増加した医療機関等に対して利用増加率と利用件数に応じた支援金を支払う事業や、顔認証付きカードリーダーの増設費用を一部補助する事業を推進する方針を打ち出している。同省は、これらの事業と並行して行う診療報酬での対応について、総会に検討を求めた。
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は診療報酬上でも医療機関による利用勧奨の取り組みを手厚く評価するよう要望。これに対して支払側からは、「診療報酬上ではマイナ保険証の利用率に応じた評価が考えられるが、支援事業との重複は避けるべきだ」(松本真人委員・健康保険組合連合会理事)など、補正予算事業との関係を整理するよう求める意見が相次いだ。
この日は居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム導入への対応も議論した。居宅同意取得型のシステムは、訪問診療や訪問看護、オンライン診療などを対象にした仕組みで、厚労省はシステムを介して入手した情報を活用した診療の評価を検討課題として提示。その際、訪問診療等については評価を行うタイミングも重要な論点であることを示した。診療時に患者からの同意取得とシステムからの情報取得を同時に行える外来診療やオンライン診療と違い、訪問診療等では初回訪問時は患者からの同意を取得するのみで、情報の取得は医療機関等に戻った後に再照会機能を使って行う仕組みとなっているためだ。
診療側の長島委員もこの点に言及し、「訪問診療等では情報の取得が診療のタイミング以外になるため、取得した情報の活用は、次回の訪問時や訪問診療計画の検討時となる。評価を検討する際には、こうした情報取得のタイミングの違いも考慮する必要がある」と指摘した。