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「世界を変えた書物」と膝カックン [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(79)]

No.4783 (2015年12月26日発行) P.74

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-31

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  • 少しでも気になる展覧会があると、こまめに出向く。たまには、なんじゃこりゃあ、ということもなくはないが、おおむね費用・時間対効果は非常によろしい。11月、実に素晴らしい展覧会にめぐり会った。大阪で開かれた『世界を変えた書物』展だ。

    ダーウィンの『種の起源』、コペルニクスの『天球の回転について』など、文字通り世界を変えたといえる本、その初版本がずらりと並ぶ。ニュートンの『プリンキピア』、デカルトの『方法序説』などもあり、まさに人類の叡智が集結した知の殿堂がにわかに出現したような様相であった。

    『種の起源』と、その7年後に出版されたメンデルの『植物─雑種についての研究』とが並んでいた。生命科学の歴史における二大発見のそろい踏みだ。素直に感動。

    『種の起源』が一大センセーションを巻き起こしたのに対して、メンデルの本はほとんど知られることもなく、遺伝の法則が再発見されるまでに30年以上の歳月が必要であった。ダーウィンもメンデルの本のことは知らなかったとされている。そんなことを考えると感動はいや増すばかり。

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