武見敬三厚生労働相は4月9日の閣議後会見で、医師の地域偏在を解消するため、省内で具体的、包括的な政策の検討を進めていることを明らかにした。インセンティブを付与する方法やオンライン診療の活用なども検討する。
これは4月7日に放映されたNHKの「日曜討論」が発端。番組では武見厚労相や横倉義武元日本医師会長らが出席、医療をテーマに議論が行われた。この中で医師偏在対策について横倉氏が、医師の勤務地が自由なのは日本と韓国―と指摘した上で、韓国で地方の医師不足対策を発端に混乱が起きている事態に触れ、「医者もしっかり自覚しなければいけない。自分たちの自由で何でもできるという時代が変わってきたと思う」と指摘した。
これについて見解を問われた武見厚労相は「今までいろんな試行錯誤をしてきたが、偏在は解消できない。ここまで来ると、地域において医師の数の割り当て、これを本気で考えなければいけない時代に入ってきたかなと思う。診療科の偏在もどのように是正していくかを同時に考えていくことが必要で、今までとは相当違う考え方で整理していく必要が出てきていると私は思う」と述べた。
これに対して横倉氏は「割り当てをすると相当抵抗があると思う。いわゆるインセンティブで誘導できる仕組みを考えていく、強制ではなく。そういうやり方を考えていただきたい。やりがいのある風潮を作っていくのが大事だと思う」と注文をつけた。
9日の会見では、記者から番組内での発言について問われ、武見厚労相は、「前例にとらわれない対策の検討を行うべきとの考えを示したもの。その際には規制的な手法だけでなく、インセンティブを与えるやり方やオンライン診療の活用等も組み合わせて検討していくことが必要だと考えており、今現在、厚労省の中で具体的・包括的な政策について検討を始めているところ」と述べ、検討を進めていることを明らかにした。