鹿児島県下甑島。そこは人口2000人弱の小さな離島である。その南端に位置する手打診療所に勤務して2年目の頃、思い出深い島民(患者)に出会った。60歳代の男性、地元漁師の親方だ。「漁をしてすごく暑いのに汗が出ないんだ。ふらふらする、何とかしてくれ!」と言う。医師7年目にして初めて聞く主訴だ。少し時間を頂き、調べると「無汗症」というらしく、鑑別は「全身性」か「局所性」かで変わるらしい。ふむふむ。その違いを調べるには、発汗試験なる検査が必要なよう。
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