規制改革推進会議は5月31日、「規制改革推進に関する答申〜利用者起点の社会変革〜」をまとめた。医療関係では標榜可能な診療科名に「総合診療科」を追加することの検討や、初診時を含むオンライン精神療法の推進などを盛り込んだ。政府は答申を反映させた規制改革実施計画を6月中にも閣議決定する。
複数の慢性疾患を抱えることが多い高齢者の増加に伴い、総合的な診療能力を持つ医師の需要は高まっているが、答申は日本専門医機構が定める専門医制度の基本領域の中で総合診療科だけが標榜可能な診療科名となっていない点に強い問題意識を表明。総合診療を担う医師への受診を希望する患者の医療へのアクセスを円滑化する観点から、学術団体の意見も踏まえながら、標榜可能な診療科名に「総合診療科」を追加することについて検討するよう求めた(2024年度検討開始・25年結論)。
オンライン精神療法については、24年度診療報酬改定で「通院精神療法」をオンラインで実施した場合の評価が新設された。ただし、算定対象は過去1年以内に同一疾患で対面診療を行ったことがある再診の場合に限定されており、「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」でも「初診精神療法をオンライン診療で実施することは行わないこと」と規定されている。
これに対し答申は、①英米等ではオンラインによる初診精神療法が実施されている、②オンライン精神療法には対面診療と同等の有用性があるとするエビデンスが国内外で示されている―などと反論。初診・再診ともにオンライン精神療法がより活用される方向で、新たな指針の策定に向けた検討を進めることを求めた(24年検討開始・25年までに結論・措置)。
介護関連では、介護職員が実施可能な医行為の範囲を拡大し、介護現場におけるタスク・シフト/シェアの推進につなげることを要求。具体的には、介護現場で実施されることが多い医行為について、①一定の要件の下で介護職員が実施可能と考えられる行為の明確化について、その可否を含めて検討する(24年検討開始、25年結論)、②実施可能な行為があるとの結論を得た場合は実現のために必要な法令や研修体系等について検討する(前項の結論を得次第検討を開始、26年度までに結論、結論を得次第速やかに措置)―ことなどを求めている。