株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS かかりつけ医機能報告の厚労省案で議論―社保審医療部会

No.5226 (2024年06月22日発行) P.70

登録日: 2024-06-12

最終更新日: 2024-06-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社会保障審議会医療部会は67日、2025年度に創設される「かかりつけ医機能報告」の厚生労働省案について報告を受けた。5月下旬の関係分科会における議論と同様、発生頻度が高い疾患の診療などを行う機能(=1号機能)の報告方法を症状別とするか診療領域別とするかが最大の論点となった。

厚労省は1号機能の報告事項として、(案1)臨床研修の到達目標の35項目の症状のうち、必修とされている20項目以上の症状に対して一次診療を行えること、また、35項目の症状ごとへの対応の可否についても報告すること、(案2)17の診療領域または案135項目の症状のいずれかについて一次診療を実施できること、また、かかりつけ医機能に関する研修修了医師または総合診療専門医がいること等、(案3)かかりつけ医機能に関する研修修了医師などの有無(要件化はせず有無の報告だけで可)等―の3案を示している。

いずれの案も、報告事項のすべての要件を満たす医療機関のみが「1号機能を有する医療機関」となり、続いて2号機能(時間外診療や在宅医療等)の報告を行うことができる。

■医療関係者は診療領域別、保険者・患者団体は症状別の報告を支持

厚労省から提案された3案に対し、医療関係者の委員は、厳しい要件を設定すると地域で既にかかりつけ医機能を担っている医療機関が手挙げできなくなることを危惧。20以上の症状に対して一次診療ができることを求める案1には反対している。また35項目の症状すべてについて一次診療の可否を報告するという要件に対しては、患者が訴える症状と医師が医学的に判断する症状は必ずしも一致しないとして、「症状別での報告は現場の混乱を招くだけだ」と強調。案2を選択する場合も、診療領域別の報告とすべきだと主張している。

これに対して保険者や患者団体の委員は、症状別の報告のほうが患者にとってわかりやすいと反論。特に保険者団体の委員は、35項目の症状のいずれかの一次診療に対応できていればよいとする案2では不十分だとして、案1を強く推している。

また、研修修了医師や総合診療専門医の取り扱いでは、医療関係者と患者団体の委員が、案2のような要件化の必要はなく、該当医師の有無の報告にとどめるべきだとの見解で一致している。

厚労省の「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」は、今回の医療部会で示された意見も踏まえて議論を継続し、7月中を目途に最終取りまとめを行う予定。

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top