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君子(?)危うきに近寄らず(上) [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(86)]

No.4791 (2016年02月20日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 10年以上も前の話である。秋田のかまくら祭りに出かけたことがある。けっこう暖かい日で、雨に降られたけれど、かまくらで子どもたちが焼いてくれたお餅を食べたりして楽しかった。立派な老舗旅館に投宿していたのだが、何もすることがないので、9時頃には眠りに入った。

    すると、起きていた妻が、なんやら煙たいと言う。寝ぼけながら「サンマでも焼いたはるんとちゃうか」と言うたら、木の燃える匂いだと言う。布団から出るのもじゃまくさいし、「古い旅館やから薪でお風呂でもわかしたはるんちゃうんか」と抵抗していたら、ちがう、廊下に煙が充満してきていると言う。すわ火事か。肝心なことはもっと早う言わんかい。

    しかし、慌てて浴衣のままで荷物を持って出たりしたら、大阪の人はやっぱり慌て者やわ、とか思われるかもしれん。こういう時ほど落ち着いて行動しましょう、と自分に言い聞かせつつ、浴衣から服に着替えて、荷物をパッキング。我が家だけがカバンを持って出たりしたらかっこ悪いしと、部屋に置いたままで、旅館の玄関へ。ちなみに、この時点まで館内放送はなし。それって、あかんやろ…。

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