【質問者】藤森 尚 九州大学病院肝臓・膵臓・胆道内科講師
【適切な位置に描出することや,穿刺針の選択が重要である。また,病変を貫かないように愛護的に穿刺を行う】
EUSは,超音波観測装置の改良もあって,膵腫瘤を小さい段階で指摘できる症例も増えてきています。10mm以下の膵癌切除例の5年生存率が80%を超えることから1),一般的に“小さい膵腫瘤”は10mm以下を示すと考えられます。
膵小腫瘤として鑑別すべきは,膵癌のほか,内分泌腫瘍や膵内リンパ節など多彩です。診断によって外科術式が異なり,また経過観察を行う疾患もありますので,基本的には,小さい膵腫瘤であってもEUS-FNAの適応は通常のEUS-FNAと変わらないと考えられます。しかし,腫瘤径が小さい場合は,EUS-FNAが難しくなると考えられますので,いくつかのコツが存在します。
まずは穿刺針の選択です。いわゆる組織採取針は,一般的に疎通性が良好ではなく,10mm以下の腫瘤の穿刺に際しては少々困難な場合があります。腫瘤内に穿刺針が到達できない場合は,もちろん組織採取はできませんので,疎通性のよいFNA針もしくは組織採取針を選択することがポイントです。
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