下顎骨は,その部位,構造,形態から外力による損傷を受けやすいため,骨折に至ることが多い。正中部や下顎角部は外力が直接加わったことによる直達骨折をきたしやすく,また関節突起は介達骨折をきたしやすい。
まずは受傷時期,受傷場所,受傷原因など受傷状況を把握する。
粘膜や皮膚の損傷,血腫,皮下出血の有無:骨折部位に応じた箇所に生じることが多い。
咬合不全の有無:明らかに咬合不全をきたしていれば骨折が疑われる。
パノラマX線およびCTの撮影を行い,骨折部位を確定する。
原則,偏位を伴う骨体部骨折は,観血的整復固定術を選択する。明らかに骨折線が単線かつ偏位がわずかなものは,非観血的整復法を用いることもある。
また関節突起骨折の場合は,若年者もしくは下顎頸部上方および関節包内であれば保存療法,頸部下方および基部であれば観血的整復固定術を選択する。
残り1,376文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する