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埋伏歯(下歯槽神経麻痺)[私の治療]

No.5233 (2024年08月10日発行) P.48

山本雅絵 (東京歯科大学口腔病態外科学講座講師)

登録日: 2024-08-10

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  • 埋伏歯の中でも特に智歯の場合は,歯冠周囲の歯肉に細菌感染を生じ智歯周囲炎となることがある。智歯周囲炎は重篤な蜂窩織炎に増悪することもあるため,智歯の正常な萌出が期待できない場合は抜歯する。下顎の埋伏歯は下歯槽神経に近接することが多く,抜歯術中の下歯槽神経損傷には注意が必要である。稀に舌神経損傷を認める場合もある。

    ▶診断のポイント

    埋伏歯の形態と下歯槽神経との位置関係を正確に把握することで,下歯槽神経損傷のリスクを評価,下歯槽神経麻痺の発現リスクを予測して,抜歯手術を綿密に計画する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    オルソパントモX線で埋伏歯の形態と下歯槽神経の位置関係を把握する。オルソパントモX線で埋伏歯と下歯槽神経の近接が認められる場合,あるいは埋伏歯の根形態に弯曲,肥大,骨癒着が疑われ,さらにその埋伏歯と下歯槽神経が近接している場合は,抜歯の際に周囲骨を削去する可能性があるため,CTにより根形態,下歯槽神経との位置関係について診断する。

    口腔内所見として,埋伏歯の歯冠が頬側へ向いており,下顎骨内斜線の位置から根尖が舌側骨より露出している可能性を推察できる場合,CTを行い舌側骨から根尖が露出しているかどうかを確認する。

    埋伏歯根尖が下歯槽神経に接触している場合:局所麻酔下での抜歯

    埋伏歯の舌側に下歯槽神経が圧扁されている場合:静脈内鎮静法の併用を考慮

    埋伏歯の根間に下歯槽神経が圧扁されている場合:静脈内鎮静法の併用を考慮

    埋伏歯の下方に下歯槽神経が接触している場合:接触距離により静脈内鎮静法の併用や全身麻酔を考慮

    舌側骨より根尖が露出しており,その根尖周囲を触知できない埋伏歯深度である場合:静脈内鎮静法の併用や全身麻酔を考慮

    口腔内で抜歯操作が行えるか口腔内の環境を確認し,嚥下反射が強い場合や開口量が少ない,操作スペースがない場合:静脈内鎮静法の併用や全身麻酔を考慮

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