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顎関節症×(葛根湯+抑肝散)[漢方スッキリ方程式(95)]

No.5259 (2025年02月08日発行) P.36

島田 淳 (医療法人社団グリーンデンタルクリニック理事長)

登録日: 2025-02-05

最終更新日: 2025-02-05

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顎関節症の考え方と治療

顎関節症は,顎関節,咀嚼筋の痛み,顎関節音,開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名である。基本的に顎関節,咀嚼筋など運動器の機能障害であり,ストレスなど心理社会的要因が関係し,慢性化すると全身的な症状を訴えることがある。

主な原因としては顎に負担をかける姿勢やくいしばりなどの生活習慣や悪習癖,睡眠障害が挙げられている。病態は様々であるが,基本的に治療は機能改善のための運動療法,負担軽減のための口腔内装置による治療と生活指導が行われ,慢性痛となり強く症状を訴える時には運動療法に合わせて葛根湯,睡眠時のくいしばりの改善に抑肝散を用いると有効なことが多い1))。

顎関節症と漢方

葛根湯は,顎関節症患者の筋肉の痛みに対し,証に関係なく78.6%~90.9%に臨床効果が認められる。痛みを緩和することにより二次的に生じる関節痛,自律神経系への作用および筋緊張亢進の誘発を制御することが可能であり,頭・顎・肩部痛・耳痛など多彩な随伴症状の改善もみられる2)。また,強いストレスが原因で不眠,イライラとともに,くいしばりという肝気鬱結がみられる場合には,肝を改善させる目的で抑肝散を用いる3)

漢方の効果を高めるためには,生活指導とともに機能改善の運動療法を必ず行うことが重要である。

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