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口唇裂・口蓋裂[私の治療]

No.5232 (2024年08月03日発行) P.41

成田真人 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座講師)

登録日: 2024-08-03

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  • 口唇裂・口蓋裂は顔面の先天異常の中で最も多くみられ,胎生8週までの胎芽期における発育障害の結果として発生すると考えられている。その病態は,口唇裂,口蓋裂,唇顎口蓋裂(口唇口蓋裂とも呼ばれる)の3つに大別される。

    ▶診断のポイント

    【口唇裂・口蓋裂の裂型】

    ①口唇裂・唇顎裂:一次口蓋の裂のため,程度の差こそあれ顎裂を伴っていることが多い。破裂が外鼻孔まで達していないものを不完全口唇裂,達しているものを完全口唇裂と言う。

    ②口蓋裂:不完全口蓋裂とは,切歯孔後方の硬口蓋,軟口蓋,口蓋垂に由来する口蓋裂を言う。不完全口蓋裂のひとつである粘膜下口蓋裂は,口蓋正中部の粘膜透過性(軟口蓋正中部の筋組織の断裂に由来する所見),口蓋垂裂,硬口蓋後方端のV字状骨欠損ないし後鼻棘の消失,の3つの他覚的症状を特徴とし,Calnanの3徴候と呼ばれている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    口唇裂・口蓋裂の障害には,美的障害,哺乳障害,摂食障害,言語障害,歯列異常,顎顔面の発育異常,滲出性中耳炎などの耳疾患,精神心理学的障害などがあり,多岐にわたる。したがって,出生直後から顎発育の終了に至るまでの長期間にわたり,一貫した治療方針に基づく臨床各科のチームアプローチによる集学的治療が必要不可欠である。

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