萎縮性舌炎には,萎縮性カンジダ症に伴うものや正中菱形舌炎,口腔乾燥症に伴うもの,鉄欠乏性貧血などの全身疾患に伴うものがある。
カンジダ菌の病的増殖や,唾液分泌量の低下を検索する。唾液分泌量の低下を疑う場合には,サクソンテストやガムテストを実施する。鉄欠乏性貧血などの全身疾患に伴うものを疑う場合には,血液検査等で全身検索を実施する。
無症状の場合には加療の必要はない。症状がある場合は,口腔カンジダ症の治療を実施する。
シェーグレン症候群や薬剤性などの全身的要因が考えられる場合は,内科やかかりつけ医に,原因疾患の治療や内服薬の変更が可能かどうかを相談する。口腔粘膜や舌等に器質的疾患がないものについては,含嗽薬,保湿ケア,唾液腺マッサージによる対症療法を行い,漢方薬の投与も検討する。
血液検査で鉄欠乏性貧血などを疑う所見がある場合には,原因疾患について内科へ紹介する。口腔内症状に対してはアズレンスルホン酸ナトリウム水和物の含嗽等の対症療法を実施する。
一手目 :フロリードⓇゲル経口用2%(ミコナゾール)1回5.0g 1日4回(毎食後・就寝前),またはオラビ錠Ⓡ口腔内用50mg(ミコナゾール)1回1錠1日1回(就寝前)
二手目 :〈処方変更〉ファンギゾンⓇシロップ(アムホテリシンB)1回1.0mL 1日3回(毎食後)
一手目 :アズノールⓇうがい液4%(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物)1回4~6mg〔1回押し切り分,または5~7滴を適量(約100mL)の水,微温湯に溶解〕1日数回(含嗽)
二手目 :〈一手目に追加〉白虎加人参湯エキス顆粒(白虎加人参湯)1回1包1日3回(食前または食間)
比較的体力があり,ほてりの症状がある場合に処方する。
一手目 :【口腔乾燥症に伴う舌炎】と同様
口腔衛生指導を実施し,経過観察しても改善しない場合や,局所および全身的因子との関連も考慮する場合には,地域拠点病院歯科口腔外科や大学病院口腔外科へ相談する。
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