お知らせ
手首にできものができている……［ガングリオン］［骨折ファーストタッチ ─decision makingのための骨折の考え方─（33）］
鑑別診断
▶若い女性で手首にできものがある場合，ガングリオンを疑います。手関節に好発で，特に背側に発生するものが多いです。手関節掌側橈側にも発生することがありますので，診察の際には部位の確認が大切です。
▶ガングリオンは関節腔と連続しており，一方弁によって関節液がたまることが原因とされています。内容物はゼリー状の液体です。ガングリオンによって末梢神経が圧迫されるとしびれなどの症状が発生しますが，無症状で見た目の審美的理由で受診される場合が多いです。
▶また，指先（DIP関節）にできたガングリオンは変形性関節症を引き起こし，爪の変形を起こします。破裂して感染をきたすこともありますので注意が必要です。
▶脂肪腫は頸部・肩・背中に好発する良性腫瘍で，柔らかく痛みはありません。膝裏にできるベーカー囊腫も緊満になったり，炎症を伴ったりしない限り痛みはありませんが，破裂すると片側下腿腫脹と痛みで病院を受診するので深部静脈血栓症（deep venous thrombosis：DVT）との鑑別が重要です。足関節については，特に外側に水がたまり，柔らかくなった状態を滑液包水腫と呼びます。時に炎症を起こし痛みを伴い滑液包炎になります。
鑑別疾患：「手首にできものができている」⇒ガングリオン
指先（DIP関節） → ガングリオン，頸部・肩・背中 → 脂肪腫
膝裏 → ベーカー囊腫，足関節 → 滑液包炎
