アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s dementia:AD)に対するレカネマブが保険適用となり,臨床現場での使用が始まった。しかし,レカネマブに関する臨床試験の結果を見る限り,効果が不明確な上に,副作用のリスクが高いというのが,主観的評価である。
テレビに出演したADの専門医と言われる医師が「画期的な薬だ」と発言する放送を見たが,その専門医は論文を読んでいないのか,あるいは,読んでも評価ができないのかわからないが,とても専門家の発言とは思えない。研究者であれば,利益相反で正直な意見が述べられないのかもしれないが,それにしても「画期的な薬」とは思えない。むしろ危険な薬と呼ぶべきではないかと思う。
この状況に関し,レカネマブを含む抗アミロイドβ抗体薬についてのメタアナリシス1)が発表された。その内容を紹介しつつ,保険薬の承認とは別の視点で,レカネマブの効果と害について検討したい。