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■NEWS 新地域医療構想は医療提供体制全体の課題解決のための構想に―厚労省検討会

登録日: 2024-08-28

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厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は826日、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想について、入院医療から外来・在宅医療、介護との連携までを含む医療提供体制全体の課題解決を図るための構想とする方向性を固めた。これを受け検討会は年末の最終取りまとめに向け、9月以降は各論の議論に入る。

厚労省は同日の分科会に40年頃の医療需要予測などのデータを議論の素材として提示。その中で、今後の85歳以上人口の増加と人口の減少に伴い、①高齢者施設等の入所者を含む軽症・中等症の高齢者の救急搬送が増え、受入体制の強化とADLの低下を予防するための入院早期からのリハビリの提供が必須となる、②在宅医療は需要が大幅に拡大するが、在宅医療を提供する診療所数は近年横ばい傾向にあり、医療機関・職員当たりの訪問可能患者数にも限りがある、③入院医療では多くの構想区域で手術件数の減少が見込まれ、一般病院の経営維持や医療の質とマンパワー確保の観点から症例や医師について、一定の集約が必要になる―などの課題が顕在化すると見通した。

対応策として厚労省は、入院医療だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携等を含む医療提供体制全体の新たな地域医療構想を策定し、地域において長期的に共有すべき医療提供体制のあるべき姿・目標として位置付けることを分科会に提案し、了承された。

■連携・再編・集約化を念頭に医療機関機能に着目した提供体制を構築

新構想の柱には、(1)地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想、(2)今後の連携・再編・集約化をイメージできる医療機関機能に着目した医療提供体制の構築、(3)限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現―の3項目を据えた。

1)では85歳以上人口の増加に伴う高齢者救急や在宅医療といった医療・介護需要の増大に対応するため、医療提供体制全体を対象にした地域医療構想のあり方を議論。(2)では、病床機能だけでなく、急性期医療の提供、高齢者救急の受け皿、在宅医療提供の拠点等、地域で求められる医療機関の役割も踏まえた医療提供体制の構築を目指す。(3)では医療DXや働き方改革の取り組み、地域の医療・介護の連携体制の強化等を通じて生産性を向上させ、持続可能な医療提供体制モデルを確立する、とした。

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