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社交不安症[私の治療]

No.5244 (2024年10月26日発行) P.42

清水栄司 (千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授)

登録日: 2024-10-29

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  • 社交不安症は,日常的な人との関わり(社交)に強い不安を感じ,生活に支障をきたす不安に関する精神疾患(不安症群)のひとつである。わが国では,対人恐怖症として知られていた。2013~15年に実施された「世界精神保健日本調査セカンド」では生涯有病率1.8%と報告され1),多くの患者が存在する。発症は思春期,青年期に多く,未受診率が約7割と想定され,不登校や引きこもりにつながり,誰にも相談できず,苦悩が続くため,早期発見・早期介入が求められる。

    ▶診断のポイント

    ①人前で話をするなどの注目される状況,②人の集まりに入っていく状況,③人前で恥ずかしいことをして他人から否定的に評価される状況等の怖さが度を超えていて,生活に支障が出たり,耐えるのに,ひどいつらさを感じたりすることが6カ月以上続く,などを問診する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    社交場面での傷つき体験を含む病歴聴取を行い,自己記入式質問紙を用いた簡易な心理検査,LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度)2)(保険適用)を使用して重症度を判定したり,どのような社交場面に強い不安を感じて避けてしまっているかを把握したりする。「人前での不安は誰にでもあることだから」等の本人の不安を過小評価する否定的な発言は厳に慎まれたい。

    社交不安症の治療としては,精神療法としての認知行動療法と薬物療法がある。認知行動療法が薬物療法より優れているという研究もあり,そのようなエビデンスを患者と共有し,一緒に治療法を決定する。

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