10月17日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」では、外来医療についても議論した。今後見込まれる外来需要の減少や診療所医師の高齢化、内科以外の診療所の不足などの課題を整理しながら、地域の協議の場等で外来医療提供体制を確保するための方策を検討していく方向性を確認した。
外来医療についてはすでに外来機能報告に基づく紹介受診重点医療機関の明確化や、外来医師多数区域の新規希望者に地域で不足する機能への対応を要請する取り組みなどを実施。25年4月にはかかりつけ医機能報告の創設も控えている。
ただ、すでに減少が始まっている外来需要は、今後いっそう減少し、医師等の医療従事者不足も加速する。特に外来の主たる担い手である診療所医師は高齢化も深刻な課題。厚労省の推計によると、診療所医師が80歳で引退し、承継がなく、同じ市町村内での新規開業もないと仮定した場合、40年には診療所のない市町村数が22年に比べて170程度、引退年齢を75歳に早めた場合は270程度増加する見込みだという。
内科以外の診療所不足も懸念されており、診療所の標榜診療科の約6割を内科が占め、ほぼすべての二次医療圏において半数以上の診療所が内科を標榜している状況にある。
このため厚労省は2040年に向けた新たな地域医療構想の進め方として、外来医療については地域ごとに将来の需要を踏まえつつ、医師数や診療所医師の高齢化、標榜診療科等の医療アクセスなどに関する情報を整理しながら、地域の協議の場で外来機能の明確化や連携、外来医療提供体制の確保に関する検討を進めることを提案。これと並行して地域における外来機能の偏在・不足等への対応も行う考えも示した。
内科以外の診療科の確保では、新たな地域医療構想の作成ガイドラインを検討する際に、①地域の需要に応じて内科やその他の診療科の医療が効率的に提供できるよう、医療関係団体、医師派遣を行う医療機関、都道府県、市町村等の連携によるオンライン診療を含む遠隔医療の活用、医師派遣、巡回診療等の推進、②診療所と中小病院等の連携―などについて議論することを提案した。いずれの案に対しても異論を示す構成員はいなかった。