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ギッテルマン(Gitelman)症候群[私の治療]

No.5246 (2024年11月09日発行) P.44

野津寛大 (神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野教授)

登録日: 2024-11-09

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  • ギッテルマン症候群(Gitelman syndrome:GS) は,バーター症候群と同様に低カリウム血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能異常症に伴う症候群である〔OMIM(Online Mendelian Inheritance in Man):263800〕。遠位尿細管に発現する輸送体機能異常で発症する。GSは,臨床的には学童期以降に発症し比較的軽症の臨床像を呈するとされてきたが,実際には倦怠感,活動量の低下,筋力の低下,筋痙攣,多飲多尿,小学校以降も持続する夜尿症,夜間頻尿などの様々な症状による生活の質(QOL)の低下を認める場合も多い。
    近年は,GSおよびバーター症候群(「バーター症候群」の稿参照)を1つの疾患概念ととらえ,遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症(salt-losing tubulopathy:SLT)と総称する傾向にある。

    ▶診断のポイント

    低カリウム血症,代謝性アルカローシスを呈し,かつ利尿薬,緩下薬の常用,食思不振など二次的要因を伴わないことでGSを疑い,遺伝学的検査を行うことで確定診断する。倦怠感やテタニー症状に伴い診断されたり,低身長の精査の際に診断されることも多いが,ほとんどの場合は偶然の血液検査で低カリウム血症を認め診断される。以下に示す様々な二次的要因により類似の病態を呈するため,確定診断には遺伝学的検査が必須である。

    鑑別を要する,その他の二次的要因:食思不振,緩下薬の常用,利尿薬の常用,グリチルリチンの常用,アルコール中毒,サウナ中毒,嘔吐癖,慢性下痢,妊娠悪阻など。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    低カリウム血症に対するカリウムの補充が基本である。さらに,低マグネシウム血症を伴う場合はマグネシウムの補充を行う。電解質異常の補正が困難な場合や,日常生活に支障をきたすような倦怠感,活動量の低下などを認める場合は,イブプロフェンによる治療を行う。

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