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ペルテス(Perthes)病[私の治療]

No.5247 (2024年11月16日発行) P.44

中村直行 (神奈川県立こども医療センター整形外科部長)

登録日: 2024-11-17

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  • 6,7歳の活発な男児に好発する大腿骨近位骨端核の阻血性壊死症。骨端症のひとつともされる。発症後,診断が遅れると,骨端核の圧壊が進行し重症化する。病因はいまだ不明。成人の大腿骨頭壊死とは予後が異なり,6,7歳の好発年齢で発症した場合,早期発見と適切な治療管理により,壊死骨頭は再生し,機能予後も良い。

    ▶診断のポイント

    本疾患の予後に強く影響する要素は,選択する治療法ではなく,発症年齢と診断時の重症度(骨端核圧壊の程度)である。よって,早期診断が最も大切である。小児の股関節疾患は,大腿,膝,踵のような股関節以外の場所に疼痛を訴える児が3割も存在する。また,本疾患で痛みを強く訴えるのは初期だけで,しだいに主訴が痛みより跛行,股関節外転・内外旋障害になる。X線画像所見も当初は軽微で,1,2カ月遅れて明らかになってくる。こういった臨床的特徴から,下肢痛の訴えでありながら腑に落ちない経過の場合,念のため股関節も撮影したり,時間をおいて再度撮影してみることをお勧めする。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ペルテス病は,低年齢であるほど早くきれいに治る。その一方で,高学齢の重度圧壊例はいかなる治療法でも治療成績には限界がある。International Perthes Study Group(IPSG)のtreatment protocolsでは,6歳未満は対症療法(鎮痛薬や運動制限,可動域訓練など)のみ,6~8歳は保存治療でも手術治療でも有意差がなく,8歳以上は手術治療が推奨され,11歳以上はいかなる治療でも良い成績が得られにくい,とされている。これらはペルテス病の診療にあたる小児整形外科医なら感覚的に理解できる臨床像だが,6歳未満のsupervised neglect(観察下での見守り)だけはわが国の医師には受け入れがたい。その年代層は,確かに何もしなくても8割は良好に経過するが,2割の股関節は破綻する。一方,6歳未満でも積極的に免荷治療を行えば,ほぼ100%きれいな球形骨頭に治すことができる。よって,わが国では低年齢でも免荷治療が試みられることが多い。我々も肢体不自由児施設を利用して積極的に免荷治療を行っている。

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