厚生労働省は11月8日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」に新設する医療機関機能報告について再整理した資料を提示した。医療機関に報告を求める医療機関機能は二次医療圏などの地域ごとに整備する4機能と、広域の診療や医療従事者の育成といった大学病院本院が担う機能の計5機能とする。
2040年頃を見据えた新たな地域医療構想では入院医療について、「治す医療」を担う医療機関と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域における医療機関の連携・再編・集約化を推進するため、医療機関が自院の担う医療機関機能を都道府県に報告する仕組みを創設する。
このうち地域ごとに整備する医療機関機能は、(1)高齢者救急等機能:高齢者等の救急搬送受け入れ、入院早期からのリハビリや退院調整など、(2)在宅医療連携機能:在宅医療やかかりつけ医機能の後方支援としての24時間対応や急変時の入院受け入れなど、(3)急性期拠点機能:手術や救急医療等の医療資源投入量の多い症例を集約化した医療を提供、(4)専門等機能:集中的なリハビリを提供する医療機関や一部の診療科に特化した専門病院―の4機能を設定。
既存の病床機能報告とは異なり、複数の機能を持つ医療機関には複数機能の報告を認める。また急性期病院の集約化を念頭に置いた「急性期拠点機能」は、報告医療機関に一定の水準を満たすことを求めるとともに、構想区域ごとにどの程度の病院数を確保するか設定。二次医療圏よりも広域での整備が妥当と考えられる場合などは、都道府県等に構想区域を拡大することを可能とする。
このほか、大学病院本院が担う広域な観点の医療機関機能として、医育および広域診療機能を設定する。
この日は二次救急医療機関の取り扱いについても議論した。二次救急医療機関の中には救急搬送受け入れ実績が三次救急並みの施設もあり、地域の実情によって「高齢者救急等機能」と「急性期拠点機能」のどちらでの報告もあり得る。このため厚労省は25年度に地域医療構想の策定ガイドラインについて検討する際に、地域で両機能を担う医療機関が高齢者やそれ以外の救急医療における役割分担をどのように進めていくのかについて改めて議論することを提案した。