厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」は11月29日、医師の養成に関連する部分の医師偏在対策案を大筋で了承した。座長預かりで必要な修正を行った上で、政府が年内に取りまとめ予定の「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」に反映させる。
対策案は、(1)臨床研修の広域連携型プログラムの制度化、(2)総合的な診療能力を有する医師の育成・リカレント教育、(3)医学部臨時定員、(4)診療科間の医師偏在への対策―の4項目が柱。
(1)の広域連携型プログラムは、医師多数県の基幹型病院の臨床研修プログラムに医師少数県の臨床研修病院等での24週以上の研修が組み込まれたもの。東京都、大阪府、京都府、岡山県、福岡県の5都府県を対象に募集定員上限の原則5%以上を当該プログラムの募集定員に充てる方針がすでに固まっており、2026年度からの制度化を目指して準備を進める。
(2)は、地域においてかかりつけ医機能を担う医師の確保に向け、①専門医制度における総合診療専門医の養成、②中堅以降の医師が総合的な診療能力について学び直すためのリカレント教育―を推進。後者については、学会や病院団体の協力を得ながら、総合診療の魅力発信、医療と介護の連携を含めた地域における実践的な診療の場の提供、知識・スキルの研修を全国推進事業として一体的に実施するようなリカレント教育事業を国が支援する。
(3)の医学部臨時定員は、偏在対策につながる配分を念頭に、26年度臨時定員の配分方針等についての具体的な議論を継続する。
(4)では、近年医師数の伸びが横ばい傾向にある外科医師の確保が喫緊の課題。手術等の急性期医療は今後需要の縮小が見込まれ、働き方改革や治療成績向上の観点から症例や人材の集約化が必要な事情もある。
このため、①医療の集約化を図りつつ、処遇改善に向けた必要な支援を行う、②外科をはじめとした各診療科の専門研修制度における研修体制のあり方等について専門医機構や学会等の関係者と検討する、③外科医師が比較的長時間の労働に従事している等の業務負担への配慮・支援等の観点での手厚い評価について別途必要な議論を行う―ことを対策案に盛り込んだ。