厚生労働省は1月28日、2023年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況を公表した。保険医療機関等の指定取消は21件で、前年度に比べ3件増加。保険医療機関等からの返還金額は約46億2千万円だった。
23年度の保険医療機関・薬局に対する指導・監査等の実施件数は、(1)個別指導・1464件(対前年度比41件減)、(2)新規個別指導・6576件(166件減)、(3)適時調査・2748件(445件増)、(4)監査・46件(6件減)―だった。
取消等の処分の状況をみると、保険医療機関等の指定取消は前年度比3件増の21件、保険医等の登録取消は前年度と同じ14人(いずれも保険医療機関の廃止などでこれらの行政処分が行えなかった「取消相当」を含む)。このうち医科は、保険医療機関等の指定取消が11件(対前年度比4件増)、保険医の登録取消が5人(増減なし)だった。
保険医療機関等の指定取消処分の原因(不正内容)は、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求など多岐にわたる。不正発覚のきっかけは、保険者、医療機関従事者、医療費通知に基づく被保険者等からの情報提供が21件中18件と大半を占めた。残り3件は警察の摘発や個別指導などだった。
保険医療機関等に返還を求めた額は46億2338万円で、前年度に比べて26億5077万円の増加。その内訳は、①指導による返還分・13億5390万円(対前年度比・3億3758万円増)、②適時調査による返還分・31億9557万円(23億9212万円増)、③監査による返還分・7391万円(7892万円減)―となった。返還金額は23年度以前に指導・監査等が行われ、23年度中に返還金額が確定したものも含まれる。