厚生労働省の有識者会議「『保健医療2035』策定懇談会」(座長=渋谷健司東大院教授)は9日、2035年までに実現すべき医療政策に関する提言書をとりまとめ、塩崎恭久厚労相に提出した。
提言書では、地域ごとにサービス提供量の目標を定め、過不足に応じて診療報酬点数を加減算する仕組みを検討するよう提案。医療費の伸びが医療費適正化計画を上回った都道府県では、都道府県が診療報酬の加算要件などを主体的に決定できる仕組みの導入も求めている。
かかりつけ医については、総合的な診療能力を持ち、患者の意思決定を助ける役割を担うべきとの考えを示した上で、今後10年程度の間にかかりつけ医を全国に配置する体制の構築を提案。かかりつけ医の普及に向けて、かかりつけ医と他の医療機関の間で患者の費用負担に差を設けることも検討すべきとした。
医師の地域間・診療科間の偏在対策では、保険医の定数配置、自由開業・自由標榜制の見直しを含めて検討し、地域のニーズに応じた配置の実現を求めている。
提言の実現可能性について、渋谷座長は「現行制度の枠に囚われず、20年後を見据えればこんな選択肢もあるのではないかと考えた結果だ。実行体制の構築が前提」と説明。事務局長を務めた小野崎耕平構成員(日本医療政策機構)は、「厚労省内に実行推進本部を設置し、実現可能なものから検討してほしい」と述べた。