神経芽腫(neuroblastoma)は,胎生期の神経堤由来の細胞が腫瘍化したものであり,交感神経系組織が存在する副腎髄質または傍脊髄部の交感神経節から発生する。小児固形腫瘍において脳脊髄腫瘍を除いて最も頻度が高く,日本では年間100~150例の発症が認められる。一般的に,1歳半未満での発症例は予後良好であることが多い一方で,1歳半以降で発症し転移を伴う例は予後不良である。
原発や転移の部位や,病状の進行度によって,様々な症状を示す。腹部腫瘤,腹部膨満を契機に診断される症例が多いが,進行例の場合は,発熱,骨転移に伴う骨痛・歩行障害・頭部腫瘤・眼球突出,傍脊椎腫瘍の脊柱管内浸潤・脊髄圧迫に伴う背部痛・下肢麻痺などの多彩な症状を認める。特異的な症状としてオプソクローヌス・ミオクローヌス・失調症候群(異常な眼球運動,ミオクローヌス,失調症状)を呈することがある。
神経芽腫が疑われる症例があれば,まず画像検査,骨髄検査,腫瘍生検などを行う。画像診断は造影CT,MRI,123I-MIBGシンチグラフィーが用いられる。123I-MIBGシンチグラフィーで腫瘍に集積を認めない症例ではFDG-PETが有用な場合がある。腫瘍マーカーとしてNSE,尿中HVA/Cre,尿中VMA/Creが用いられる。
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