(概要) 2017年度末で廃止予定の25対1医療療養病床と介護療養病床。転換先の新たな選択肢として、医療内包型の施設と、医療機関への住まい併設という2類型が追加される見通しだ。
25対1医療療養病床(約7.6万床)と介護療養病床(約6.1万床)は、来年3月で廃止に向けた猶予期間が終わることから、20対1医療療養病床や老健施設などへの転換を迫られている。しかし現場では、経営上の問題などから転換が進んでいない。
これを踏まえ、厚生労働省の「療養病床の在り方等に関する検討会」は15日、転換先の新たな選択肢となるサービスモデルを概ね了承した。サービスモデルの新類型(下掲)は大きく分けて、(1)医療機能を内包した施設系サービス、(2)医療を外から提供する、居住スペースと医療機関の併設─の2つ。
「医療内包型」のうち案1-1は、急変リスクがあり高い介護ニーズを持つ利用者を念頭に置いた医療提供施設。当直を含めた24時間の看取り・ターミナルケア対応を目指す。案1-2は容体が比較的安定し、多様なニーズを持つ利用者を想定している。
「医療外付型」(案2)は、居住スペースに併設する病院・診療所から訪問診療で医療を提供する。想定される転換例としては、病床削減とともに20対1病床や診療所に転換し、残りを居住スペースとするようなケースだ。居住スペースと医療機関が別々に基準を満たした上での合築は現行制度でも可能だが、検討会では、「移行を促す観点から、基準の緩和も併せて検討することも考えられる」と整理された。
●2018年度改定に間に合うかは不透明
厚労省は新類型を「転換のあり方、廃止の猶予期間の延長の是非も含めた議論の土台」「既存病床から転換する場合の選択肢」としており、新類型が2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定で、実際の選択肢になりうるのかについては、まだ不透明。新規開設の場合に認めるか否かも今後の議論次第だ。
今後は社会保障審議会で、人員配置基準、施設基準など運用上の枠組みを詰める議論が進められる見通しだ。厚労省は、遅くとも来年の通常国会に、医療法、介護保険法などの改正案を提出する方針。